借金苦の始まりは、両親から借りた。

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借金苦の始まりは、両親から借りた。

思えば、私の借金生活のきっかけは大学在学中の就職活動の失敗でした。

お金を借りた先は、何と自分の両親。
20歳を超えた者としては当然のことですが、仕事に就けないまま生きるしかない私の生活にかかるお金を両親に肩代わりして貰い、何かしらの収入を得られるようになってから少しずつ返すという形をとることになったのです。

 

勿論一番マズかったのは、就活に勝てなかったこと。
ですが、大学卒業と同時に実家で共働きの両親と同居している祖父母が腰を痛め、掃除や洗濯など家の中のことをする人手が欲しいと実家に呼び戻されたことも、私の借金生活を助長する一因になっていました。

 

首都圏、とは言えなくても、通っていた大学は関東にあり、都心にだって簡単にアクセスできる場所でした。
そのため1人暮らしをしていたその場に残ってさえいれば、正社員にはなれなくても、アルバイトをして稼ぐ口は残されていたのです。
しかし東北の田舎の実家の周囲には、正社員はおろかアルバイトの口さえ碌に無く、あっても車を持っていない私にはとても通える距離ではないお仕事ばかり。
当然、仕事のためでも車を買えばそれも私の借金に加算されていきます。

 

祖父母も80歳を過ぎているため心配でしたし、何よりアルバイトを見つけるまで食いつなぐお金が無いことから実家に帰らざるを得ず、車を買うことを諦め遠方に仕事に行くこともできないまま、私は何とか家事をこなしながら少しずつでも稼ぐ方法を考えねばなりませんでした。

 

食費、光熱費、電気代、上下水道、インターネットのプロバイダ料金に年金、保険料と、ただ生きているだけなのにこんなにお金がかかるのかと思わされることばかりの日々。
親が相手だから督促などもなく、確かに一般の借金苦よりはよほどマシな状況でしょうが、成人も過ぎたこの歳で未だに親のお金で生きていることが、惨めで情けなくて堪りませんでした。
そうは言っても稼がなければ親への借金は膨れるばかりです。

 

そこで、インターネットを通じてデータ入力や記事作成などの内職をこなし、どうにか1日千円、二千円と稼げるお金を増やしていきました。
今はまだ、借金の1/3さえ返せてはいませんが、祖父母が回復するかアルバイト先でも見つけられるまでは、こうして細々とした稼ぎを増やしていけるよう努力する他ありません。
この一見地味な借金生活、ほぼ無職な自営業を名乗るわびしさと、ただ生きることそれだけにかかるお金の膨大さ、そして成人としての情けなさが地味に辛く染みるのです。

 

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